カラースパッタリング装置

焼きなまし(焼鈍)とは

焼きなましは、金属の熱処理の一つで、切削やプレスなどの加工工程で材料内部に発生した残留応力や加工硬化などを取り除く作業を指します。「焼鈍(しょうどん)」や「アニーリング」と呼ぶ場合もあります。

焼きなましを行った金属材料は、結晶組織が均一になって柔らかくなり、加工性や靭性が向上します。鋼を硬くする目的で行われる「焼入れ」とは正反対の性質を持つ熱処理です。

真空焼きなまし(真空焼鈍)について

応力除去焼鈍や磁気焼鈍をするときの雰囲気について、大きくわけて、真空と大気の二種類があります。通常の大気焼鈍では冷えるときに金属表面で酸素と結びつき、酸化し、黒色系に色変わりします。酸洗や化学研磨や物理研磨で取り除くことはできますが、寸法変化やコストに課題があります。これを防ぐために「窒素」「アルゴン」などのガスを炉内に充填し、熱処理する雰囲気焼鈍があります。


同様にして、「窒素」「アルゴン」を使わずに、炉を真空にして焼鈍する真空焼鈍があります。真空中で処理するため、酸化や脱炭を抑え、酸化膜ができないので、表面の光沢を失うことなく、高い仕上がりになります。


酸洗いなどの後処理が不要になり、環境にも優しい処理方法です。脱炭を抑えることができるので、硬度のばらつきも少なくなります。熱処理後の冷却スピードも遅くすることができるため、内外の温度差によって生じる歪も小さくなります。

コミヤマエレクトロンでは顧客の要望に合わせて、加熱温度、加熱上昇時間、加熱保持時間を設定できます。
各条件に合わせて、最適な制御パラメータを設定し、ご要望に応えております。



真空熱処理は精密部品に適した処理方法です。真空中で処理するため、コンタミなどの汚染がなく、特に真空環境に用いる部品には最適は熱処理方法です。

弊社の真空熱処理装置はターボ分子ポンプ(TMP)を搭載しているため、高い真空度で処理することができ、放射光施設などで使用される高い真空度を求めている部品の処理に最適です。

弊社の真空熱処理装置は四重極型質量分析計(QMS)を常設しており、常に投入された部品によって炉内が汚染されていないことを監視しています。
また、投入する部品による汚染も防ぐために、事前に部品洗浄を実施しています。このように高い品質が維持されるように管理しております。

焼きなましには3種類あり、それぞれ目的が異なります。

完全焼きなまし
球状化焼きなまし
応力除去焼きなまし

完全焼きなまし(完全焼鈍)

「完全焼きなまし」は金属を可能な限り柔らかくすることを目的として行います。硬い金属組織が「オーステナイト」という構造になるまで金属を加熱(一般的な鋼の場合は800~ 850℃程度)し、時間をかけてゆっくりと炉内冷却します。このときの冷却速度が早すぎると柔らかくなりません。

完全焼きなましは、鍛造加工や切削加工の前に施し、加工性高める用途で使用されます。

球状化焼なまし(球状化焼鈍)

「球状化焼なまし」は、筋状になった鋼のなかの炭化物(セメンタイト)を球状化させる焼きなましを指します。

球状化焼なましの方法は特殊で、加工業者のノウハウとして様々なものがあるのが特徴です。代表的な球状化焼なましの方法は、「オーステナイトに変化する温度を何度も行ったり来たりさせる」「オーステナイトに変化する温度を長時間保持する」などして行います。

高炭素合金鋼や工具鋼などの焼入れ処理の前処理としてや、冷間鍛造の前処理などに利用されます。

応力除去焼きなまし(応力除去焼鈍)

「応力除去焼きなまし」は、圧延や鍛造などで発生した歪みを取り除くのが目的で行われます。この応力除去焼きなましを行うことで、次工程や使用中に発生する加工硬化が原因のひび割れなどを防止できます。

基本的な工程は完全焼きなましと同じですが、応力除去焼きなましの加熱は、オーステナイト化するよりも低い温度帯で行われます。「低温焼きなまし」と呼ばれる場合もあります。